私たちが子供の頃は、携帯電話やインターネットはまだ一般的ではありませんでした。
今では小学生が自分用のスマホを持っていたり、ほとんどの家庭でテレビゲーム機を持っています。
時代の変化と共に、パソコンやインターネット、スマホなどを使いこなせないと、時代の流れに乗れないところもありますよね。
でもそれと共に増えてきて深刻化しているのが、メディア依存です。
スマホ依存や、ゲーム脳と言われるゲーム依存が問題になっています。
今の時代にはなくてはならない電子メディア機器ですが、私たちはどう利用していったら良いのでしょうか?
メディアの子供への影響や、メディアとの付き合い方について、お伝えしていきたいと思います。
メディアの子供への影響
大人でもスマホ依存やゲーム依存の人はいますよね。
でも、発達の途中にいる子供にとっては、大人以上にとても大きな影響があります。
具体的にメディアとは、電子映像機器の電子メディアのことで、例えば次のようなものがあります。
・テレビ
・DVD
・スマホ
・ゲーム
・パソコン
・タブレット
・iPad
多くのご家庭では、このあたりの電子メディアを使うことが多いのではないでしょうか?
具体的には、これらが子供にとってどのような影響があるのでしょう?
次から子どもへの電子メディアの影響について、お伝えしていきます。
視力の低下
テレビを近くで見続けたり、スマホ、iPadなどを長時間使うことで、視力が低下しやすくなります。
特にメディア機器から出る光のブルーライトは、目や脳にとって刺激が強いものです。
テレビを乳幼児期から長い時間見続けて、視力が低下している子どもが増えています。
また、テレビの平面画面を長時間見続けることで、物を立体的にとらえる「立体視力」が育ちません。
距離感がつかめずに、顔でボールを受けたり、階段を踏み外したりする子どもも増えています。
睡眠不足
メディア機器から出るブルーライトが、睡眠の妨げになります。
人は活動的な時には交感神経が働いていて、リラックスしているときには副交感神経が働きます。
これらの神経は睡眠とも大きく関係していて、夜には副交感神経によって脳がリラックスして、眠りに入ることができます。
本来は夜になると副交感神経が活発になりますが、夜遅くまでゲームなどをして交感神経が活発になると、眠りにくくなって睡眠不足になりがちです。
スマホを遅くまでいじっていて、眠れなくなったという経験がある人も、きっと多いですよね。
子どもの場合にも、睡眠不足で朝起きられなくなったり、生活習慣にも大きな影響を及ぼします。
睡眠や起床のリズムが不規則になって、朝ご飯が十分に食べられなかったり、排便の習慣にも影響が出ます。
発達段階の真っ只中にいる子どもにとって睡眠不足は、健康面や学習面、対人関係など様々な面で大きな影響を与えます。
頭痛・体力低下・疲れやすくなる
同じ姿勢になりがちなので、神経を圧迫して体の不調が起こります。
また、外遊びの時間が減って運動不足になり、筋肉が弱くなります。
足の筋力がないので、長く歩けなかったり、転びやすい子どもも増えているんですよ。
体力低下によって疲れやすくなり、イライラしたり感情の乱れも起こります。
また、室内で過ごす時間が多くなることで、年齢とともに発達する自律神経系の機能にも影響があります。
血圧調整がうまくいかない、体温調節ができないという子どもも増えています。
やめられなくなり依存状態になる
大人でもゲームやスマホ、ネットサーフィンがやめられなくなるという体験はあるのではないでしょうか?
人が集中力を発揮している時、脳内ではドーパミンが大量に分泌されています。
このドーパミンという脳内伝達物質、依存症傾向とも関わりがあって、ニコチン、薬物、ギャンブル依存症なども、ドーパミンの大量分泌が関係しています。
ゲームやスマホ、ネットサーフィンなども、脳が依存症の症状と似たような状態になってしまっています。
それでやめられなくなり、どんどん長い時間を使ってしまって、子供時代に必要な体験や遊び、家族との会話、学習、運動などに使う時間が短くなります。
ゲーム障害が世界的に問題になり、2018年にWHO(世界保健機構)で国際疾病分類(ICD-11)に加えることが発表され、2019年に採択されました。
特に問題なのは、脳の発達が未熟な子どもがゲーム依存になることです。
発達させるべき年齢の時に、脳を成長させることができないので、それに伴って様々な問題が発生します。
ゲーム依存を引き起している脳を正常な状態に戻すには、とても時間がかかります。
暴力的な映像の影響
テレビやテレビゲームにおける暴力シーンが、暴力的な人格を形成するのではないかという問題が心配されています。
「暴力シーンが、子どもに暴力を学習させている」と考えられ、とても問題視されています。
幼児期では現実の世界と、非現実の世界との区別は難しくて、子どもたちの無意識の脳の中に、好ましくないイメージやメッセージを植え付ける危険性があります。
脳への影響
メディア機器は発達途中にある、子供の脳への影響がとても心配です。
1歳半検診で言葉の発達が遅く、発語のチェックにひっかかる子は、テレビの視聴時間が長いことが多いと言われています。
その際、1日2時間以上のメディア接触で、悪影響が出ている子が多くなります。
長時間のテレビやゲームが、脳の発達、特に言語領域の発達に悪影響を与えられていることが論文でも発表されています。
また、人間の脳は、前頭葉・頭頂葉・側頭葉・後頭葉と呼ばれる部分に分けられます。
特に前頭葉の前頭前野という部位は、他の動物と違って、⼈間が特に発達している部分です。
物事を考えたり、我慢をする、人を思いやる、何かに集中したり挑戦する、発明するときなどに良く働く部分です。
脳の中でも、人間が人間らしくあるために、とても大切な部分になりますが、この前頭前野の発達に影響が出ると言われています。
メディア機器の進歩によって、子供たちにもいろいろな社会的問題が表れ始め、世界中で映像メディアと子供の行動への影響に関する研究がされるようになりました。
そしてテレビやビデオ、テレビゲームなどのメディアにさらされている時間と子供の暴力性、肥満などには関連があるということが実証されています。
視覚系統が過剰に刺激されることで、その年齢で発達するべき他の感覚系統や運動系統、我慢をしたり自分をコントロールする自己調整系統が育たなくなってしまいます。
また、現実世界の中でしっかりと作られるべき、親子の絆や人とのつながりが十分にできなかったり、自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちを感じ取る力の発達が損なわれます。
小さい頃からの過剰な映像メディアとの接触は、コミュニケーション不足や社会適応能力に影響して、後々に引きこもりやニート、反社会的事件に関連すると考えられています。
過剰なメディアとの接触は、必要な現実体験の学びの時間を大きく削って不足することになり、発達段階の中にいる子どもに悪影響を与えます。
体は大きくなっていきますが、脳にとっては必要な刺激が足りないまま、幼い脳や心のままで大きくなってしまうことになるんですね。
私たち親世代も、テレビが当たり前の環境で育ってゲームも楽しんだ世代なので、親自体がメディアから離れられないということもあるかもしれません。
気分転換に楽しむ程度ならいいですが、子供にとって過剰に触れてしまうことや、不適切な映像に触れることは、脳にとっても良くないことなので避けたいですね。
メディアコントロール
ゲームで長時間遊んだり、スマホを使い続けたりすると、心や体に様々な影響が表れ始めます。
子供の場合は、発達の遅れやアンバランス、攻撃的になるなども見られ、深刻な影響も起こります。
健康的な発達のためには、メディア電子機器と上手に付き合っていく「メディア・コントロール」が大切です。
私たちの子供時代にはありませんでしたが、今は多くの小学校でもメディアコントロールや、メディアに触れないノーメディアデーなどについて、子どもたちに伝えているんですよ。
過剰で不適切なメディアとの接触を避けて、時間を制限し、ノーメディアデー、ノーテレビデー、ノーゲームデーなどを作ることが、今の時代では必要です。
一気にやめることは難しいので、メディア機器に触れる時間を少しずつ短くしていったり、無理のないできる範囲で、少しずつ習慣化していきたいですね。
見る必要のないテレビはつけっぱなしにしないでこまめに消す、メディアとは別のところに親子で楽しみ事を見つけて広げていくなどの心がけをしていきましょう。
そして子供自身が、自分で生活習慣をコントロールできる力を、少しずつ身に付けられるようにしていくことが、これからの社会の中では必要なことですね。
まとめ
学校に入ると、友達とテレビやゲームの話題で盛り上がることも多くなりますよね。
それに大人になれば、メディアを仕事で使いこなす必要があったり、天気などの生活情報を得るためにも、メディアは既に必要なものになっています。
メディア機器に囲まれている現代の子育てでは、メディア機器との関わり方や生活習慣を見直し、親も子もメディアに大切な時間を奪われずに、うまくコントロールしていくことが必要ですね。
メディアは必要なツールですが、子どもの年齢に合わせて適切なルールを決めて、上手に付き合っていきましょう!
<関連記事>
スマホやiPad、スクリーンの悪影響を開発者たちは知っている
コメント