「自己肯定感」という言葉を聞いたことはありますか?
自己肯定感は、簡単に言うと、自分のことを肯定的に受けとめることができる感覚のことです。
この自己肯定感は、子どもにとっても、そして私たち大人にとっても、大変重要なものです。
特に子育てでは、子どもの自己肯定感は親としていつも意識し、大切にしていきたいものです。
人生に大きな影響を与える、自己肯定感についてお伝えします!
自己肯定感とは
自己肯定感とは、自分のことを肯定的に受け止められる感覚のことで、自分が自分に対してどう考え、どう感じているのか、という感覚のことです。
自分の存在そのものを認められる感覚で、ありのままの自分をかけがえのない大切な存在として、受け止めることができる感覚です。
この自己肯定感は、単に自分に対しての自信が高くて、ポジティブ思考になるということではありません。
肯定的な面だけではなく、短所や苦手な部分などの否定的な面も含めて、ありのままの自分を受け入れている状態です。
これは、たくさん何かを持っているとか、人よりも何かができる、何かが得意という、人と比べて自分が優れているかどうかで評価するものではありません。
他の人と比べた時に感じる、条件付きの自信は、自己肯定感とはいいません。
どんな状況でも、短所も含めてありのままの自分を認めている感覚で、自分はかけがえのない大切な存在だと、自己価値を感じられる心の状態です。
自己肯定感が高い人は、感情が安定していて、物事をポジティブにとらえることができます。
この感覚を持っていると、自分のことを尊重しているように、他人や周りの人も尊重することができるので、お互いに良い人間関係を築くことができます。
反対に、自己肯定感が低い人は「自分は何をやってもだめだ」「どうせうまくいかない」と物事をネガティブにとらえがちで、感情も乱れがちになります。
人生に影響する自己肯定感
自己肯定感の高さがとても影響し、大切になるのは、何か困難な状況やトラブル、失敗、自分にとって苦しい状況などが起きたときです。
自己肯定感が低いと、本来の力を発揮できなかったり、精神的に不安定になったり、自分の良さにも目が向かなくなります。
自己肯定感が高ければ、たとえ感情が揺れて落ち込んだとしても、必要以上に自分を否定せず、自分の力で気持ちを立て直し、自分自身を信じて、問題に対処することができます。
大人になって、何か人生において大きな選択をするときにも、この自己肯定感が大きく影響します。
「自分ならきっとできる!」と自分を信じてチャレンジできるのか、「どうせうまくいかない」「自分にはできない」と思ってあきらめるのか、自己肯定感の高さで人生の選択も違ってきます。
子どもはみんな自己肯定感を持っている
子どもは本来、みんな高い自己肯定感を持って生まれてきています。
生まれた赤ちゃんの時から「私はきっとミルク飲めないし無理!」「僕はどうせ1歳になっても歩けるようにはならない…」と思っている子どもはいないですよね。
でも大人になると「えー!無理、無理…」「どうせできない!」に、多くの人がみんななってしまいますね。
それはどうしてなのでしょう?
私たち日本人は、外国の人に比べて、自己肯定感がとても低いと言われています。
その国の文化や価値観が影響していることもあるかもしれませんが、子どもの自己肯定感は、一番は親の子どもに対する言葉がけや、働きかけによって影響を受けます。
「あんたは天才や」と親に言われて育った子は、ほんとはいろんなことが他の子よりできなくても、ある年齢まで「自分は天才」だと思い込んで大きくなった、という話を聞いたことはないですか?
または、絵がそんなに上手ではなかったけど、親が見せるたびに「上手!」といつも誉めてくれて、嬉しくていつも絵を描いていたら、本当に上手になったとか。
子どもは親の関わりの影響を大きく受けます。
ここで思い出してほしいのは、あなた自身が小さい頃に、親から何か傷つくようなことを言われたという体験はないかということです。
きっと誰でも1つくらいは、思い出す出来事があるのではないかと思います。
「そんなんだからあなたはダメなのよ」「どうせまたできないんでしょ」自分の力や可能性をないものにされてしまうような言葉や、自分自身を否定されるような言葉など。
親が何気なく言ったその一言が、実は子どもの自己肯定感を下げてしまっているんですよね。
子どもは本当は存在しているだけで価値があり、無限の可能性があるのに、毎日繰り返し言われることで「自分には価値がない」「何をやってもどうせうまくいかない」と間違えた思い込みを持ってしまいます。
そうやって親の言動や育つ環境によって、もともとあった子どもの高い自己肯定感は、だんだんと低くなっていきます。
本当は、人が何と言おうと親だけは、いつでも我が子の力を信じ、味方になってあげたいものですね。
無条件に受け入れられる経験を重ねる
元々子どもが持っている自己肯定感を下げないためには、小さい頃から親の愛情を十分に受けて、自分が無条件に受け入れられているという経験を、積み重ねていくことが大切です。
短所と思えるダメな部分や悪いところ、間違えた行い、失敗がたくさんあったとしても、ありのままの自分を丸ごと受け入れられて、存在していること自体が大切に尊重される経験です。
自分のあらゆる個性や特徴、自分らしさに親から好意的に目を向けられて受容される、存在レベルの自己肯定感の土台をしっかりと作ることが大切です。
「あなたがやったことは悪かったけど、あなたのことは変わらず大切に思っているし、応援している、きっとできると信じてるよ」と言葉で伝えてあげましょう。
また、子どもは言葉以外の非言語的なコミュニケーションからも、親の気持ちや考えを敏感に感じ取ります。
親の表情や視線、声のトーンや口調、素振りなどからも敏感に感じ取るので、子どもが望ましくないメッセージを受け取ってしまわないように、気を付けましょう。
多くの日本人は、この存在レベルの自己肯定感の土台がしっかりと作られていません。
そのため、学校や社会に出た時に、何か困難があると、すぐに落ち込んで自己否定をして、なかなか立ち直ることができません。
さらに、この存在レベルの自己肯定感が低いと、自分に付属している持っている物、能力や成果、資格、人からの評価などで自分の気持ちを満たして、保とうとします。
評価を求めて頑張りすぎたり、何でも完璧にやらなくてはと思ったり、人よりも常に自分が優位に立とうとしたりします。
また、人の役に立てていないと自分には価値がないと思っているので、自分を犠牲にして人に尽くしてしまうこともあります。
でもそれらを失ったり、それがうまくいかなくなったとたんに「自分には価値がない」と自己評価を下げてしまいます。
このような条件付きの自己評価ではなく、どんな状態でも無条件に自分を肯定できる自己肯定感を大切に育てることが大切です。
そうすることで、大人になって親から自立した後も、精神的に安定し、自分で人生を切り開いていくことができます。
子どものこの存在レベルの自己肯定感の土台を、親がしっかりと理解し、小さい頃から少しずつ積み重ねていけるといいですね。
学童期からは親のフォローも大切
大きくなってくると、家庭の中だけではなく、学校などで友達と自分を比べるようになって、自分はどういう人間なのか、人からどう見られているのか、自己認識を深めていきます。
その過程の中で、勉強や運動面などの能力、身体的特徴や性格などを友達と比べて「自分はだめだ」と落ち込むことも出てきます。
他の人と自分を比べて、悩んだり落ち込んだりしているような時には、親のフォローも必要です。
「みんな違っていて当たり前」「みんなそれぞれ長所も短所も持っている」「あなたならできるよ!」そう伝え励まして、思春期の心の揺らぎを支えてあげたいですね。
そのような家庭の中や他者との比較の経験を経て、少しずつ自己肯定感の土台ができあがっていきます。
子どもが成長して大人になったときに、自分の力で幸せな人生を送れるかどうか、自分は生まれてきて良かったと感じられるかどうかは、この自己肯定感が大きく影響します。
親の自己肯定感も影響する
子どもの自己肯定感を大切に育てていく時に、影響するのが親、特にお母さんの自己肯定感です。
なぜなら、自己肯定感が高いお母さんと、自己肯定感の低いお母さんから出る言葉は、全く違ってくるからです。
特に無意識に子どもに対して出た言葉は、自分でも気付いていないかもしれません。
子どもに幸せな人生を送ってもらいたいと思ったら、同時にお母さん自身も自分の状態を見直して、一緒に自己肯定感を上げていく必要があります。
多くの日本人は、自己肯定感が低いですからね。
「私たちは誰でも、存在自体に価値がある」ということを、ママ自身が理解し受け止められますか?
お金をたくさん持っているとか、友達がたくさんいるとか、誰かの役に立てている実感があるとか、そのようなことは一切関係なく、この世に存在する全てはかけがえのない価値のあるものです。
どんなに自分はダメな母親だと思っていても、あなたのお子さんや、家族にとってはかけがえのない大切な存在です。
そのような感覚を、お母さん自身が取り戻して、子育てを通じてママ自身もより幸せな自分へ、子どもと一緒に向かっていきましょう。
まとめ
自己肯定感は人が生きていくうえで、土台になっている大切なものです。
仕事や収入、職場での人間関係、恋愛や結婚、自己実現など、人生を満足して歩んでいる人とそうでない人とでは、能力や才能以前に、この自己肯定感が高いか低いかによって、大きな違いが出てきます。
人の自己肯定感は、人生のあらゆる面に影響を与えて、人生の中で満足度や幸福感を決定づけています。
私たち親は、子どもが社会の中で、他人との比較や他人からの評価などによって、自己肯定感を下げてしまわないように、気を付けてサポートをしていく必要があります。
「あなたがどんな状況でも、存在自体に価値があって、ママにとって大切な存在」ということを、具体的な言葉や態度、表情などで繰り返し伝えてあげましょう。
それが子どもが自分を好きになり、自分自身の存在や価値を認め、自分を大切にしながら幸せな人生を歩んでいくことにつながっていきます。
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