心理学の心の仕組みの考え方、固定観念は親との関係性でできる

公園を手をつないで歩く親子 心理学

人は誰でも、固定観念というものをたくさん持っています。

固定観念は人の心の中にある、他人や周りの状況によっても変わることのない、こり固まっている考えのことです。

持っている固定観念によって、その人の行動のパターンも決まってきます。

固定観念は多くの場合、小さい頃の親との関係性の中で作られていきます。

では私たち親は、子どもとどう関わっていったら良いのでしょうか?

まずは心理学の基本的な部分について、お伝えしていきたいと思います。

毎日の子育てに生かしていけるように、心の仕組みの基本的な考え方について、ぜひ最初におさえてみてくださいね!

スポンサーリンク

誰でも色つきメガネを持っている

家族

人が持っている固定観念を、別の言葉で言い換えると、それぞれが持っている「色つきメガネ」と表現することができます。

「VRのゴーグル」と考えてもいいですね。

何か出来事が起きた時に、本来はその出来事自体には、良いも悪いもありません。

その人だけの色が付いた、その人オリジナルの色つきメガネや、VRのゴーグルをつけて物事を見た時に、初めて意味づけがされます。

どんな色がついているかによって、見え方が人によって、全く違うんですね。

同じ出来事が起きているのに、人によってとらえかたや感じ方、反応が全く違うことって、経験ありませんか?

それは、その人の色つきメガネを通して物事を見て、判断しているからです。

例えば、みんなでカラオケに行こうという話になったときに「やったー!」と喜んで、心がワクワクする人と、「絶対行きたくない…」と嫌な気持ちになる人がいますよね。

心配する女性

人によって、どうしてこのような差があるのでしょうか。

それは過去の体験に影響を受けて、その考えや気持ちが自動的に瞬間的に生み出されているからです。

歌が上手だと誉められたり、カラオケで楽しかった体験がある人は、また楽しい時間が過ごせるだろうと想像して、ワクワクします。

ガッツポーズの女性

でも、過去に自分の歌声をバカにされたり、恥ずかしい思いをした体験がある人は、カラオケに行きたいとは思わないし、苦痛でしかありません。

それは、出来事が起きた時に、瞬間的にその過去の体験の記憶が無意識に思い出されて、それに紐付いた感情が自動的に表れているんです。

私たちの毎日の中で、何か出来事が起こるたびに、毎回この「過去の体験の記憶→それに紐付いた感情」の流れが、無意識にほんの一瞬で起こっています。

原因は小さい頃の親との関係性

「過去の体験の記憶→それに紐付いた感情」のパターンの元になる、一番最初の原体験は、小さい頃の親との関係性や体験の中で作られています。

この出来事に対する心の反応の違いは、過去の体験からできた固定観念の違いによって生まれています。

どんな固定観念を持っているかによって、プラスの感情やマイナスの感情にわかれて、その感情によってとる行動も違ってきます。

積極的にやるのか、避けるのか、それとも避けられないから当たり障りのないようにするのか、それとも嫌だから相手を攻撃するのか。

そのとる行動によって、人は結果を受け取ります。

受け取る手

結果を受け取ることで「やっぱりカラオケは楽しい。また行こう!」「やっぱりカラオケは苦痛だ。次からは絶対に行かない。」というそれぞれの思いが強化されていきます。

この繰り返しで、人生は進んでいきます。

小さい頃からずっと持っている悩みや感情、いつも繰り返していることやパターンには、無意識の固定観念があります。

人の性格や行動パターン、人格形成に影響するこの固定観念が、多くの場合は、小さい頃の親との関係性や、子供の頃の家庭内での体験によって作られています。

どのようにして固定観念ができるのか

固定観念がどのように作られるのか、簡単に例を挙げてお伝えしてみますね。

大勢の人の中にいるのが苦手

ビジネスパーソン

「大勢の人がいる、集団の中が苦手なので、もう少し居心地良くいられるようになりたい」

そういう悩みを持っていた場合に、その人が「集団の中で、人の目が気になる」という気持ちを持っていたとします。

一体誰の目が気になっているのか、その元を探していくと、それは小さい頃にお母さんの目を気にしていたのが、その感情の一番最初の元になっていたりします。

小さい頃にお母さんに理不尽にいつも怒られていて、自分に悪いところがなくても、怒られ続けていたような場合、それによって、いつでも人の目を気にするようになってしまうことがあります。

「理不尽に怒られるのでお母さんに近づけない=人に近づけない、世の中の人は私を傷つける存在だ」

そう無意識に、思い込んでしまっている場合があります。

災害などのトラウマではなく、小さいことだったとしても、毎日さらされるものは、同じくらい脳には悪影響を及ぼします。

毎日の積み重ねで出てくる症状は、トラウマと同じくらい大きかったりするんですよ。

予測不可能に、ランダムに起こるものも同じです。

このような時には、好ましい認知や固定観念に気付いて、変えていく必要があります。

「あの時のお母さんは自分を傷つけるので近づけなかったけど、理想的なお母さんは自分を傷つけないし、世の中の人も自分のことを傷つけたりはない」

そう新しい固定観念を、入れ直していきます。

固定観念を入れ直したからといって、表面上の出来事がすぐに変わっていくわけではありません。

「気付いたら大勢の中にいるのが、前ほどあんまり嫌ではなくなっているかも…」そのくらいの感覚で、少しずつ変化していきます。

元々の自然な心の状態に少しずつ戻っていくだけなので、変化にも気付きにくいのです。

旦那さんにありがとうが言えない

ありがとう

次は旦那さんに対して「ありがとう」の感謝の言葉が言えないという悩みの場合です。

実はこれ、私自身が以前持っていた悩みです。照

うちの両親は、よく口喧嘩をしていて、お互いの愚痴も子どもの前で当たり前に言っていました。

夫婦間で「ありがとう」という感謝の言葉をかけ合うこともあまりなかったし、お互いに不満やストレスでいっぱいなのに、なぜ離婚しないのかが娘の私から見たら、とても不思議でした。

でも、心理学を学んだり、講師の先生からセッションを受けたりして分かったことは「両親にとっては、それが愛情表現の方法だった」ということです。

父と母の愛情表現の仕方が、子どもの私には理解ができなかっただけでした。

両親にとっては、実はお互いをののしり合うことが愛情表現だったんです。

でもそれって、好ましいことではないですよね。

だけど子どもは無意識に、親の価値観を取り入れていきます。

子ども

パートナーに対して、そのような態度をとることが愛情表現の仕方だと学び、自分も無意識に同じことをしようとします。

心の動きは目には見えないし、無意識に起こるから厄介なんですよね。

私も最初のうちは、旦那さんにも素直に「ありがとう」を言えていたのですが、結婚して数年たって、自分の中で本当の意味で家族になったと感じた時に、その固定観念が発動したんです。

だんだんと、素直に感謝を伝えられなくなりました。

それって夫婦なら、年数がたてば、誰でもそんな感じになっていくんじゃないの?

そう思う人もいるかもしれませんね。

でも、どんなに長い年月を一緒に過ごしてきた夫婦でも、ちゃんと感謝の気持ちを伝え合っているご夫婦はきっとたくさんいますよね。

スポンサーリンク

年数がたって、そこまで気を遣わなくなったとか、そういう話ではなくて、言おうと頭では思っていても、心の奥底がざわついて、言葉が出ないし言えないんです。

そして私が実家にいた頃は、両親も私も弟も含めて、家族はみんな朝は特に不機嫌でした。

だから「朝に声をかけられたくない。私に構わないでほしい。」というのも少しずつ発動してきました。

小さい子どもが、サンタクロースのことをみんな信じているように、子どもは親がしている言動はそれが正しい正しくないに関わらず、みんな信じてしまいます。

家族

子どもは家族の中で学び、無意識に自分も家族の一員として、同じようにふるまい、同じ感情を感じようとします。

そこには無意識の、その家独自の決まりが明記されている「会員証」のようなものがあるんです。

私は子どもの頃の両親の姿から、間違えた行動を学んでしまいました。

でも「私はその愛情表現の方法は取り入れない。愛する人たちにはありがとうと、感謝の気持ちをちゃんと伝えます。」と自分にとっての好ましい観念を、選択し直せばいいんですよね。

私の実家の会員証と、選択し直した今の家庭の会員証を、言葉で表すと次のように明記されているということになります。

【実家の会員証】
・朝はみんな不機嫌であるべし「おはよう」なんて挨拶は交わさない。
・家族に何かしてもらっても「ありがとう」なんて言わない。
・愛情表現はののしり合いで表すべし。
【結婚してからの今の会員証】
・起きたら家族には「おはよう」と挨拶しよう。
・夫婦でも家族にも「ありがとう」と言おう。
・愛情表現はポジティブなプラスの表現で表そう。

このように多くの場合、出来事に対して無意識に起こる反応の原因は、小さい頃の親との関係性の中で学んだり、身につけているんですよ。

固定観念は15歳くらいで完成する

この固定観念は、0歳から、もっと言うとお母さんのお腹の中にいる時から作られ始めて、およそ15歳くらいで完成すると言われています。

15歳までの間なら、観念はまだ完全には固定されていなくて、周りの環境でどんどん変化していく時期なので、好ましいものに変えていくこともできます。

母と赤ちゃん

子どもが親の元にいる子育て期間が、この固定観念には大きく影響しています。

人格形成の根っこに影響を及ぼす、幼少期の一番元になる原体験が、多くの場合は小さい頃の家庭内での出来事や、親との関係性の中にあるからです。

子どもは親に対して、一途に純粋に愛の気持ちを向けています。

それは、親が子どもを思う気持ち以上とも言われています。

そのため、子どもは無意識に親からのこうしてほしい、こうなってほしいというリクエストを拾って、それにこたえようとしています。

自分の子どもの頃を思い出してみてください。

無意識に「お母さんが忙しそうだからいい子でいなくちゃ」「お母さんが大変そうだから、自分が弟や妹の面倒をみなくちゃ」「親が喜ぶからテストでは、いつも良い点をとらないといけない」

抱っこする母子

そんな親の気持ちや思いを無意識にくみ取って、子供の頃はそれに一生懸命こたえようとはしていませんでしたか?

お母さんを喜ばせようとはしていませんでしたか?

子どもにとって、自分の命や生存をつないでくれる唯一の存在、愛情を与えてくれる存在の親の影響は、想像以上にとても大きなものです。

強化行動で固定観念を証明し続ける

人は無意識に、自分が持っている固定観念を証明し続ける「強化行動」をとろうとします。

どういうことかと言うと、例えば、自分が太っているという容姿にコンプレックスを持っている女性がいたとします。

その女性は、誰かの視線を感じると「やっぱり私が太っているから、あの人は私を見ているんだ。心の中ではきっと笑ってるんだ。」と勝手に思います。

そして「私は太っていて魅力がない」という固定観念を、自分で強めて強化していきます。

何かあるごとに「私が太っているから、あの人は私を避けているんだ」「私が太っているから、今笑われたんだ」と勝手に自分の固定観念を強化します。

そして反対に、誰かに本心で「ぽっちゃりしているのがかわいくて、おおらかでステキだね。」そう言われたとしても「そんなはずはない!社交辞令で言っているだけ!」と受け入れようとはしません。

これが自分の固定観念を強化する、強化行動です。

この現象がどんな人でも、無意識に起こっているんですよ。

頭を抱える女性

無意識だから、自分では気付いてはいませんけどね。

だから固定観念は、絶対に当たる予言と同じです。

その観念に当てはまることに対しては「やっぱりね!!」と反応して、当てはまらないことは無意識にスルーするようになっているのですから。

同じ固定観念でも言動の表れ方が違う

同じ固定観念を持っていたとしても、人によってその人の言動への出方は違います。

子供の頃に親に大切に扱ってもらえなくて「私には価値がない」という固定観念を持っていたとします。

その場合「私は本当にダメな人間なんです…」と絶望的な方向へ表れる人もいます。

反対に「どうだ!私はこんなにすごい人間なんだ!」と価値がないということが人にバレないように、人より常に優位に立とうとしたり、人のことを見下すような反抗的な方向へ出る人もいます。

同じ固定観念なのに、その言動の表れ方は、全く正反対ですよね。

いじめっこといじめられっこは、絶望的と反抗的の同じ固定観念を持っていることが多いとされています。

いじめっこは家でひどいことをされていたり、心に傷を負っていて、自分と同じような感情を持っている子(自分のシャドー)を見つけていじめようとします。

それは、自分が抑圧している感情を映し出してる人を、無意識に嫌うからです。

そのため、正反対の言動が見られる人でも、実は心の中には同じような固定観念を持っている、そんな場合もあるんですよ。

固定観念やパターンは変えることができる

固定観念は、小さい子どもの自分が、自分自身を守るために身につけた、その時の自分にとっては必要な思考や感情のパターンでした。

家族の一員としてその家庭の中にいるために、家庭内の無意識のルールに子どもは合わせていくんですよね。

そして、子どもは親に愛されるため、世話をして育ててもらって、自分の生存を守るために、必要なルールや固定観念を身につけていきます。

例えば、親に怒られないように自分の感情は出してはいけない、甘えてはいけない、我慢することがいいこと、頑張らないと自分の価値は認めてもらえない…。

あなたも思い当たることはありませんか?

大人になって今起きている問題は、ほとんど幼少期の親との関係が原因になっています。

悩む女性

だから小さい頃の親の子育ては、子どもにとってとても影響が大きいということですね。

多くの場合、無意識の世界なので、自分の中にそのような固定観念があること自体、私たちは気付いていません。

もし、何かのきっかけでその好ましくない思考や感情のパターンに気付くことができたのなら、それは自分で子どもの頃に信じると決めてできた固定観念です。

自分の意志でまた選択し直して、いつからでも望ましい観念に変えていくことができます。

まとめ

人の発達に重要な心理学を、子育てに生かしていけるように、まずは基本的な人間の心の仕組みについてお伝えしました。

心の世界は目には見えないし複雑になっているので、少し難しく感じるかもしれませんが、子育てを考える上では、欠かせない分野の1つです。

子育てについて考えるだけではなく、自分自身の今までの人生を振り返ったり、これからの人生をより良くしていくためにも生かしていける考え方です。

ぜひ何度も読んで、心の世界の仕組みを、まずは頭で理解してみてくださいね!

<関連記事>
心の栄養は人とのやりとりで満たされる、あなたは大切な存在

スポンサーリンク
れっきー

子育てライフカウンセラー・保育士として個別相談や情報発信を行ったり、宮城県で子育てサロンを運営しています。

19年の公立保育所勤務経験があります。

自分の子育てには、保育士経験だけでなく、心理学やスピリチュアルの学びも取り入れています。

わがやの子育てについての考え方や実践を、ぜひ参考にしてみてくださいね☆

れっきーをフォローする
心理学
れっきーをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました